読売歌壇3席「天井に剣」既に持っている短歌用サイズの言葉

わたしの横で眠る妻

読売歌壇3席「天井に剣」既に持っている短歌用サイズの言葉

高熱の妻のとなりで天井に剣が吊るしてあるように寝る(式守操)

選者:黒瀬 珂瀾(22.12.26)より

3席でした。【評】が付きました。

【評】妻の病がうつるかもしれないと不安がりつつ、しかし隔離もできず。まるで吊るされた剣がおちて来るかもという恐れの中での就寝。昨今の多くの人の実感でしょう。

今回も、短歌を始めて、初の採用を目指している人の参考に、歌作過程のレポートを

隣に病の妻あらば

隣に病の妻あらば、それもひどく苦しんでもいれば、そこは、天井に剣が吊るしてあるようなものではないか。

この心情を短歌にしてみたかった。

ぼんやりとそう思ってのこれまでではない。
はっきりとそう言葉にしてのこれまでだった。

妻にさらなる苦しみがあれば対応せねば、と。

自分までたおれることがあってはならぬ、と。

天井に剣/これをどう表現すれば

読売歌壇3席「天井に剣」既に持っている短歌用サイズの言葉

そのままで

どう表現も何も「天井に剣」この言葉をそのまま使えばいいではないか。

(草稿)

○○の妻のとなりで天井に剣が吊るしてあるように寝る

元々からして短歌用サイズじゃん

短歌用サイズだ?

何らかの観念を短歌用にレスポンシブデザインしてないじゃん、てこと

残すは初句

具体的な病名を載せることはあるまい。

セオリーとしては、具体名、固有名詞があった方が、一首のリアリティは補強されるのであるが、それもケースバイケースではないかと。

今回の投稿では、それを不要、と判断した。

完成へ

完成へ

初句を

具体的な固有名詞じゃないでいい?

じゃあどうすんの?

フツー、フツー

「高熱の」とでもしておけばよかろう

(完成)

高熱の妻のとなりで天井に剣が吊るしてあるように寝る

そして、仲間へ

チェックリスト

・自分が既に持っていたフレーズにそのまま使えるものはないか

・何らかの考えを短歌用に翻案しないでいいものはないか

・構造はいつもの例で単純で足りる

天井に剣=眠れない

そう、内容たるや、ただそれだけ。ただそれだけの場面。


以上。
短歌を投稿していて、もうあきらめかけている人の参考になれば幸いです。

いっしょにいい作品を世に出せるようにがんばりましょうね。

読売歌壇3席「天井に剣」既に持っている短歌用サイズの言葉

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