糸川雅子

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糸川雅子「内海に霧は湧きいん」天の曲(しらべ)として

髪の位置/内の涙 涙には濡れざる位置にあそばせて垂れ髪はいまの風になびかう(糸川雅子) 砂子屋書房『糸川雅子歌集』/『水蛍』(花影およぶ)より 「髪」は、「風」の上になく下にない。「風」の下には、しかし、「涙」がある。 糸川雅子「内海に霧は湧きいん」天の曲(しらべ)として

糸川雅子「石けりの石わが影のなかを」ありのままのすがたを

ころがる石を詩として拾う 夕暮れに子らが蹴りたる石けりの石わが影のなかをころがる(糸川雅子) 砂子屋書房『糸川雅子歌集』/『水蛍』(日記)より たとえば、歩道を歩いていて、誰かが足でちょっとどかした空き缶がころがる音がき 糸川雅子「石けりの石わが影のなかを」ありのままのすがたを

糸川雅子「かかわりなき位置より」かかわりなきに隠れた詩が

短歌で観測できない空間が顕ちのぼる かかわりなき位置よりわれの背(せ)な冷ゆる無人の広場歩みゆくとき(糸川雅子) 砂子屋書房『糸川雅子歌集』/『水蛍』(内の傷)より 一読して、短歌だなあ、と思うのである。もちろん失望では 糸川雅子「かかわりなき位置より」かかわりなきに隠れた詩が

糸川雅子「仕上げには木槌で頭部たたかれて」短歌にも音量が

短歌の音量は低くていいらしい 仕上げには木槌で頭部たたかれて出来上がりたるこけし人形(糸川雅子) 本阿弥書店『歌壇』2016.4月号「白」より 卒然と自分も短歌をつくってみたい、となった。 それまでも、おもしろい短歌があ 糸川雅子「仕上げには木槌で頭部たたかれて」短歌にも音量が