松平盟子

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松平盟子「崩れ初めたり」桃よまだまだ桃のままでいてくれ

瀕死 ようやくに形を保つ桃として桃があるまま崩れ初(そ)めたり(松平盟子) 河出書房新社『たまゆら草紙』(儚疲れ)より こういう瞬間を捉えた短歌を、わたしは、偏愛してしまうところがある。 こういうとは何。瀕死であること。 松平盟子「崩れ初めたり」桃よまだまだ桃のままでいてくれ

橋本喜典「この日の三度目を」結句をいかに魅力的にするか

迷惑電話に腹が立っただけの話なのに 勧誘の電話この日の三度目を下ろしてひとり怒りつぶやく(橋本喜典) 本阿弥書店『歌壇』2017.2月号「天地」より 迷惑電話が腹立たしい。要は、そういう内容だ。それだけだ、とも言える。そ 橋本喜典「この日の三度目を」結句をいかに魅力的にするか

松平盟子「直線の傷のごときを背に描く」されど明眸を前方に

隠された傷を背に ファスナーをまっすぐおろす直線の傷のごときを背に描くため(松平盟子) 河出書房新社『たまゆら草紙』(マリアージュ)より 苦悩なんてものの、そのほとんどは、これを、いったんはすでに味わっているものだ。たっ 松平盟子「直線の傷のごときを背に描く」されど明眸を前方に

松平盟子「ひと日われ煙となりて」<わたし>はどうなるの

短歌はその上空に怪しい雲があるようで さみだれはうすらに寒しひと日われ煙となりてうずくまり居り(松平盟子) 河出書房新社『たまゆら草紙』(夕白桔梗)より 「煙となりてうずくま」るそうな。わかる。よくわかる。ご自分を「煙と 松平盟子「ひと日われ煙となりて」<わたし>はどうなるの