春野りりん

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春野りりん「月のこころ」短歌の容積が大きくなる時間の堆積

音 着信の音づれを待つ良夜なり水脈曳きわたる月のこころに(春野りりん) 本阿弥書店『歌壇』2016.1月号「月天心」より まわりを見渡せば、このような「良夜」が、この世界にはあるのである。 「音づれ」の「音」は携帯か。夫 春野りりん「月のこころ」短歌の容積が大きくなる時間の堆積

坪野哲久「菜のはなを挿してくれけり」消滅してなお永遠の美

短歌は安易なところに美を生まない 菜のはなを挿してくれけり如月のさむきゆふべのまなかひ明る(坪野哲久) 邑書林『留花門』(靑圃)より わたくし式守はただ、この一首の、余すところのない凛冽の気に搏たれて、坪野哲久の「まなか 坪野哲久「菜のはなを挿してくれけり」消滅してなお永遠の美

糸川雅子「石けりの石わが影のなかを」ありのままのすがたを

ころがる石を詩として拾う 夕暮れに子らが蹴りたる石けりの石わが影のなかをころがる(糸川雅子) 砂子屋書房『糸川雅子歌集』/『水蛍』(日記)より たとえば、歩道を歩いていて、誰かが足でちょっとどかした空き缶がころがる音がき 糸川雅子「石けりの石わが影のなかを」ありのままのすがたを