野口あや子

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服部真里子「触れたら狂ってしまう王冠」罪深くかなしいこと

キリストと<わたし> キリストが湖(うみ)ゆく場面読みながら口つけている冷たいコーラ(服部真里子) 本阿弥書店『歌壇』2017.12月号「マクベスの正気」より この湖(うみ)はガリラヤ湖だろうか。読んでいるのは、福音書の 服部真里子「触れたら狂ってしまう王冠」罪深くかなしいこと

野口あや子の短歌の夏目漱石の『猫』の猫のようなスマホの歌

1 きみがいない日々など考えられないと複数人にいわれる幸よ(野口あや子) てのひらに収まる機器を見つめつつ全能の季(とき)はさびしからんか(同) 短歌研究社『かなしき玩具譚』(携帯電話)より 2 前者 きみがいない日々な 野口あや子の短歌の夏目漱石の『猫』の猫のようなスマホの歌

野口あや子の短歌のもう一つの美/魔性について/甘美な官能

1 十代後半だった。サディズムとマゾヒズムについて知りたいと思うこと、わたしに、尋常なものでなかった。 カトリック教徒ではないが、自分に自由な時間があれば、遠藤周作の小説を渉猟していた。三島由紀夫と澁澤龍彦を忌避していた 野口あや子の短歌のもう一つの美/魔性について/甘美な官能

短歌によって疲れきった人の前に愛を出現させることは可能か

1 妻が拒食症である。身長164。体重35。 5、6年ほど前までは、体重は、26が続いていた。 されど彼女は、常、生きようとしてきた。死ななかった。 2 拒食症への無神経な発言を、わたしは、心から憎む。たとえば、頭がおか 短歌によって疲れきった人の前に愛を出現させることは可能か

野口あや子『かなしき玩具譚』「もう見捨てられたくなくて」

炎のようなめまい もう見捨てられたくなくて「連作が書きたい」などと泣いてみるなり(風呂敷) 友達に励まされてはないているじぶんひとりじゃいきていけない(おしゃれキャット) 炎のようなめまいを覚える。 いずれも、野口あや子 野口あや子『かなしき玩具譚』「もう見捨てられたくなくて」

野口あや子『かなしき玩具譚』死と隣り合わせで足場を組む

青春の不朽の名作として 最近に限ったことではないが、生きづらい詩が猖獗をきわめている。が、いつの時代も、若者は、生きづらい以上に、将来への大きな波に乗り出したいと内心は期していることがあるのである。 しかし、岸から艫綱を 野口あや子『かなしき玩具譚』死と隣り合わせで足場を組む