香山ゆき江

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香山ゆき江「何処はげまし生きゆかむ」それは同時に歌の姿勢

何処はげまし生きゆかむ 身のほどの何処はげまし生きゆかむ老いの支度も馬鹿にはならず(香山ゆき江) ながらみ書房『水も匂はぬ』(浅黄の空)より この一首の懊悩を理解できる。共感することができる。 ここでは深く踏み込まないが 香山ゆき江「何処はげまし生きゆかむ」それは同時に歌の姿勢

糸川雅子「石けりの石わが影のなかを」ありのままのすがたを

ころがる石を詩として拾う 夕暮れに子らが蹴りたる石けりの石わが影のなかをころがる(糸川雅子) 砂子屋書房『糸川雅子歌集』/『水蛍』(日記)より たとえば、歩道を歩いていて、誰かが足でちょっとどかした空き缶がころがる音がき 糸川雅子「石けりの石わが影のなかを」ありのままのすがたを

香山ゆき江「悲鳴をあぐる」一字一音が声をあげて泣いている

短歌はそこにある人生を共有できる いづくかに傷をかくしてゐるやうに研磨の石の悲鳴をあぐる(香山ゆき江) ながらみ書房『水も匂はぬ』(石けづる音)より 短歌の話だけでもなかろうが、比喩は、思いがけないものを思いついた、その 香山ゆき江「悲鳴をあぐる」一字一音が声をあげて泣いている

香山ゆき江『水も匂はぬ』はかなくも誰かを愛する歓びがある

身の不平が動機ではない詩情 この国は、悲劇を容認しない。悲劇も神の思し召し。そのような概念を、この国の歴史は、西洋から輸入しなかった。 そこで、日本人は、悲劇に、精神的な美を探すことにした。すると、そこに、虚飾の出現が伴 香山ゆき江『水も匂はぬ』はかなくも誰かを愛する歓びがある