坪野哲久

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坪野哲久「なおいたましく」人間の内に清き純正を呼び覚ます

はだのしめりか 春近きはだのしめりかゆるやかに雨滴ひびけり夜のふけゆくに(坪野哲久) タイガー・プロ『碧巖』(朱)より 何かやわらかい絹につつまれて「ひび」いているような印象を持つ。 春近き=はだのしめり 夜のふけゆく= 坪野哲久「なおいたましく」人間の内に清き純正を呼び覚ます

坪野哲久「きみの素顔に涙したたる」短歌の天質に加味する美

短歌にくるまれた素顔の偉大さ すさまじく生き凌ぎける四十年きみの素顔に涙したたる(坪野哲久) 不識書院『胡蝶夢』(白うつぎ)より 「すさまじく」の初句が、正に「すさまじ」い。 坪野哲久は、明治のお生まれである。 死体をま 坪野哲久「きみの素顔に涙したたる」短歌の天質に加味する美

坪野哲久「菜のはなを挿してくれけり」消滅してなお永遠の美

短歌は安易なところに美を生まない 菜のはなを挿してくれけり如月のさむきゆふべのまなかひ明る(坪野哲久) 邑書林『留花門』(靑圃)より わたくし式守はただ、この一首の、余すところのない凛冽の気に搏たれて、坪野哲久の「まなか 坪野哲久「菜のはなを挿してくれけり」消滅してなお永遠の美

坪野哲久「蝶のつばさ」生命を見つめて美しい幻想が生まれた

短歌は身をめぐる世界を新しくできるのか うつくしきものにやすらふ蝶のつばささだめなき生(よ)のいのりのごとし(坪野哲久) 邑書林『留花門』(染慧抄)より 短歌をじぶんもつくりたい、となって、わたしは、自己検証を強いられた 坪野哲久「蝶のつばさ」生命を見つめて美しい幻想が生まれた

坪野哲久「円の無限のかたち」たのしんだから言葉は生まれた

その上空でリラックスして短歌が感知される 円を描きまつたき円の生(あ)れざるをたのしむ円の無限のかたち(坪野哲久) タイガー・プロ『碧巖』(律五章(落首))より なかなかまんまるに描けない。一つとして同じ円がない。たのし 坪野哲久「円の無限のかたち」たのしんだから言葉は生まれた