花山周子

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花山周子『風とマルス』あまりのおもしろさに別記事にした歌

この弟をいっぺんで好きになる 弟はわれの手相をしげしげと見しのち低く物言わんとす(花山周子) 青磁社『風とマルス』(耳)より 姉の手相に何かを見た。手相見なのかどうかは知らないが、弟に、そのおぼえが、多少はあるのだろう。 花山周子『風とマルス』あまりのおもしろさに別記事にした歌

花山周子「障子越しに霞ケ浦」芸術家は瞬間移動ができるのか

時の文化整理に耐えた 障子越しに霞ケ浦があるという夜の座敷に鰻丼を食べる(花山周子) 青磁社『風とマルス』(霞ケ浦)より 霞ヶ浦の実景を目にしてはいないのである。霞ヶ浦は、あくまで「障子越し」にある。されど、霞ヶ浦の存在 花山周子「障子越しに霞ケ浦」芸術家は瞬間移動ができるのか

花山周子『風とマルス』偉大な芸術家は社会の扉の鍵を持てる

うさぎと暮らす芸術家 ぎっしりと雨降る窓に畳まれた時間だわれは正座している(花山周子) 青磁社『風とマルス』(正座)より この先に計り知れない物語が待っている幕開けのようだ。 「正座している」この「われ」の姿は、この歌集 花山周子『風とマルス』偉大な芸術家は社会の扉の鍵を持てる

鳥居『キリンの子』鳥居歌集/母ある天は永遠にこの子を守る

悲運の流れに任されて 若い花々が、悲運の流れに任される。『キリンの子』鳥居歌集である。よく売れた。  話題の鳥居歌集『キリンの子』について。その生い立ちの壮絶さを先に情報として得ていた私は、少し身構えていたのだが、(中略 鳥居『キリンの子』鳥居歌集/母ある天は永遠にこの子を守る