古谷円

記事表示件数:5件

古谷円『百の手』人間が世界に隠している苦悩にさしのべる手

現実がぶつけてくる風や波 しっかりせよ厳(いつく)しき声響かせる大き月ありわがふところに(古谷円) 本阿弥書店『百の手』(新成人)より 『百の手』の〈わたし〉は、このようなお人である。ただ狼狽に時を移すことを、ご自分に許 古谷円『百の手』人間が世界に隠している苦悩にさしのべる手

古谷円「大根を抜きて揺らして」大根というハードボイルド

大根とセットの主婦のかっこよさ 大根を抜きて揺らして帰るとき息苦しかった昨日忘れる(古谷円) 本阿弥書店『百の手』(簡単な人)より どこをどう読んでも主婦であろう。主婦である、との直截な情報は、どこにもないが。 初句にた 古谷円「大根を抜きて揺らして」大根というハードボイルド

高松秀明「死にとなりしてすわる」短歌は祈りのための発明品

その短歌の<わたし>を時を超えて愛しむ 新しき世紀ちかづく一日を死にとなりしてすわる礎石に(高松秀明) 角川書店『五十鈴響(いすずなり)』(一  滋賀山寺・近江の宮居)より 淡々とした調べである。が、一読して読み捨てられ 高松秀明「死にとなりしてすわる」短歌は祈りのための発明品