沖ななも

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沖ななも「男がやおら」この世界は多くの人間たちがいること

もちろん立派な仕事です 電柱に向かいてしばらく立ちていし男がやおら登りはじめぬ(沖ななも) 北冬舎『白湯』(身の嵩)より 沖ななもの歌はいつもおもしろい。この一首もおもしろい。 が、この一首は、おもしろい先に感動を覚えて 沖ななも「男がやおら」この世界は多くの人間たちがいること

沖ななも「財布おまえもか」財布は毒婦のように去ることなく

短歌は日常に厚みを持たせる 去るものは追わずさりとてボールペン ケータイ 眼鏡 財布おまえもか(沖ななも) 北冬舎『白湯』(何事もなき)より この一首は、わたくし式守に、沖ななもの最高傑作ではない。また、いわゆる秀歌タイ 沖ななも「財布おまえもか」財布は毒婦のように去ることなく

橋本喜典「この日の三度目を」結句をいかに魅力的にするか

迷惑電話に腹が立っただけの話なのに 勧誘の電話この日の三度目を下ろしてひとり怒りつぶやく(橋本喜典) 本阿弥書店『歌壇』2017.2月号「天地」より 迷惑電話が腹立たしい。要は、そういう内容だ。それだけだ、とも言える。そ 橋本喜典「この日の三度目を」結句をいかに魅力的にするか

沖ななも『ふたりごころ』人生がつまらなく見えないのである

人生はいいもんだ 恐るべき致死率のウイルスで世界の主要都市が壊滅してしまう映画があった。『復活の日』である。日本映画史においてさして高い評価を得ていないが、高校生になったばかりのわたしは、それはもう何度も映画館に足を運ん 沖ななも『ふたりごころ』人生がつまらなく見えないのである

沖ななも「またも財布を」神に財布で試されているかのように

言い訳がましい言い方なのに わが首は縦に振るほうがたやすくてまたも財布を開けてしまえり(沖ななも) 北冬舎『白湯』(ひとびと)より 沖ななもの歌が好きである。のびのびとした作風に何か大きな量感と魅力を覚えられるからである 沖ななも「またも財布を」神に財布で試されているかのように