おすすめの一首

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まことにおすすめ

一記事に一首だけ載せているとは限りません。連作単位で、そこにある短歌をすべて引いているものもあります。いずれも愛しぬける短歌です。ここをこうおさえるといい短歌ができる、歌作上の発見を記録しているものもあります。

生方たつゑ「麻酔のごとやさしき」生きている世界の再発見が

この世界は生きるに値する? 麻酔のごとやさしき海の空も見き秀(ひい)でてたかき殺竿(せつかん)の下(生方たつゑ) 短歌新聞社『樹影』生方たつゑ歌集「冬の素性」(残像)より 「殺竿」読み方:せっかん 寺の門前や仏堂の前に立 生方たつゑ「麻酔のごとやさしき」生きている世界の再発見が

木俣修「霜柱散る」霜柱は何歳の靴先に散って凛々となるのか

霜柱 六十歳のわが靴先にしろがねの霜柱散る凛々(りり)として散る(木俣修) 短歌新聞社『故園の霜』木俣修歌集「去年今年」抄(霜柱)より これと似た実景を、わたしも、目にする朝がある。 霜柱なんてものを目にするのは、北国は 木俣修「霜柱散る」霜柱は何歳の靴先に散って凛々となるのか

松平盟子「崩れ初めたり」桃よまだまだ桃のままでいてくれ

瀕死 ようやくに形を保つ桃として桃があるまま崩れ初(そ)めたり(松平盟子) 河出書房新社『たまゆら草紙』(儚疲れ)より こういう瞬間を捉えた短歌を、わたしは、偏愛してしまうところがある。 こういうとは何。瀕死であること。 松平盟子「崩れ初めたり」桃よまだまだ桃のままでいてくれ

阪森郁代「あいまいに時を過ごした」それがわが半生だったら

誰にでもあるあいまいな時間 あいまいに時を過ごしたその理由(わけ)をまたあいまいに考へてゐる(阪森郁代) 角川書店『ナイルブルー』(木星の小火)より 自堕落な日々を過ごしてしまいました、なんて歌ではないだろう。惰性に任せ 阪森郁代「あいまいに時を過ごした」それがわが半生だったら

沖ななも「男がやおら」この世界は多くの人間たちがいること

もちろん立派な仕事です 電柱に向かいてしばらく立ちていし男がやおら登りはじめぬ(沖ななも) 北冬舎『白湯』(身の嵩)より 沖ななもの歌はいつもおもしろい。この一首もおもしろい。 が、この一首は、おもしろい先に感動を覚えて 沖ななも「男がやおら」この世界は多くの人間たちがいること

田宮朋子「ごめんください、猫ゐますか」少年の日のつばさよ

尽きない魅力 「ごめんください、猫ゐますか」と子どもらが遊びにやつてくる春休み(田宮朋子) 柊書房『星の供花』(言葉のひかり)より 何度読んでも尽きない魅力がある一首である。 何度も読んで、あれこれ思うことの、どこがどう 田宮朋子「ごめんください、猫ゐますか」少年の日のつばさよ

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