田宮朋子『星の供花』自らを灯火にこの世界の億のかなしみに
![](https://shikimorimisao.com/wp-content/uploads/2022/02/istockphoto-497443084-612x612-1.jpg)
まずはこんなテイストの短歌を 夜の庭を手探りしつつ摘みきたる山椒の葉に黄の花まじる(田宮朋子) 柊書房『星の供花』(彩雲)より 「夜の庭」にあって、そこは、灯りもなかった。「手探り」である。 ところが、「手探り」だったが … 田宮朋子『星の供花』自らを灯火にこの世界の億のかなしみに
記事表示件数:42件
まずはこんなテイストの短歌を 夜の庭を手探りしつつ摘みきたる山椒の葉に黄の花まじる(田宮朋子) 柊書房『星の供花』(彩雲)より 「夜の庭」にあって、そこは、灯りもなかった。「手探り」である。 ところが、「手探り」だったが … 田宮朋子『星の供花』自らを灯火にこの世界の億のかなしみに
まずは鮮やかな香りを 木犀の今日新しき香を容るるからだかすかに浮き上がりたり(横山未来子) 短歌研究社『水をひらく手』(木目)より 鋭い嗅覚である。 「香」を起点に詠まれた短歌がどれだけあるだろう。 次の一首もまた。 截 … 横山未来子『水をひらく手』その目と耳は時を見て時を聴ける
果報はまだ尽きていない 金網のひし形くぐりこれの世へ出でたるごとき顔するとかげ(梅内美華子) 短歌研究社『夏羽』(香ばしき)より 大きな波をのりこえてぽっかりと顔を出すと世界が違って見えることがある。そのようなことが人生 … 梅内美華子『夏羽』春を迎える安堵に夭(わか)き日の重さが
現代の人類 森の人オランウータン もともとはあんなさはやかな歩行であつた(永井陽子) 河出書房新社『モーツァルトの電話帳』(まみむめも)より 永井陽子において、人間に、このような感悟があったようだ。 現代の人類はこうは歩 … 永井陽子『モーツァルトの電話帳』人間でしかないことの抵抗
現実がぶつけてくる風や波 しっかりせよ厳(いつく)しき声響かせる大き月ありわがふところに(古谷円) 本阿弥書店『百の手』(新成人)より 『百の手』の〈わたし〉は、このようなお人である。ただ狼狽に時を移すことを、ご自分に許 … 古谷円『百の手』人間が世界に隠している苦悩にさしのべる手
殺意は言語化されて短歌にできるのか 人生なんて分かれ道ばっかりなのである。しょっちゅうぶつかる分かれ道を、自分の夢や希望を飽和させて、都度、そのからだをくくっとどちらかへ押し出す。 ところが、押し出した先は、凶悪犯罪があ … 田中槐『サンボリ酢ム』法律と短歌は殺意をどう言語化するか
関連するカテゴリー
おすすめの一首 コラム「おすすめの歌集」の人気記事