おすすめの一首

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まことにおすすめ

一記事に一首だけ載せているとは限りません。連作単位で、そこにある短歌をすべて引いているものもあります。いずれも愛しぬける短歌です。ここをこうおさえるといい短歌ができる、歌作上の発見を記録しているものもあります。

糸川雅子「内海に霧は湧きいん」天の曲(しらべ)として

髪の位置/内の涙 涙には濡れざる位置にあそばせて垂れ髪はいまの風になびかう(糸川雅子) 砂子屋書房『糸川雅子歌集』/『水蛍』(花影およぶ)より 「髪」は、「風」の上になく下にない。「風」の下には、しかし、「涙」がある。 糸川雅子「内海に霧は湧きいん」天の曲(しらべ)として

坪野哲久「なおいたましく」人間の内に清き純正を呼び覚ます

はだのしめりか 春近きはだのしめりかゆるやかに雨滴ひびけり夜のふけゆくに(坪野哲久) タイガー・プロ『碧巖』(朱)より 何かやわらかい絹につつまれて「ひび」いているような印象を持つ。 春近き=はだのしめり 夜のふけゆく= 坪野哲久「なおいたましく」人間の内に清き純正を呼び覚ます

前川佐美雄「嬉しくて」原始よりの本能がその心情を理解する

今を狂気の如くに 今を狂気の如くに君が梅雨の夜をひき弾けばピアノ海より深し(前川佐美雄) 短歌新聞社『捜神』(野極(梅雨五十吟))より 同じ時空を生きて恋しくもこれを夢の如くとしておいでなのか。あるいは、伴に「海深」くあ 前川佐美雄「嬉しくて」原始よりの本能がその心情を理解する

前川佐美雄「見よ」現代も戦後も安寧をやさしく包む夕ぐれが

いつの時代でも ゆふぐれの雲くれなゐに染むを見よ未来は一つふた分れせず(前川佐美雄) 短歌新聞社『捜神』(野極(きさらぎの空))より 昭和二十六年の作品。この国が「戦後」と呼ばれる時代にあった短歌である。 この短歌が、戦 前川佐美雄「見よ」現代も戦後も安寧をやさしく包む夕ぐれが

飯田彩乃「透明なストレート」この人生に慕わしい短歌を得た

少年の妙と美 信号が青になるまで少年が投げ込む透明なストレート(飯田彩乃) 第二十七回(2016年)歌壇賞「微笑みに似る」より 「信号が青になるまで」たとえばグランドに、この光景を、<わたし>が見ていたものなのか。 ある 飯田彩乃「透明なストレート」この人生に慕わしい短歌を得た

米川千嘉子「いかなる傷も吾になし」言葉の裏にある自己批判

少女へのまなざし 拒食症の少女は透くる草といふ草風なかに語れるものを(米川千嘉子) 河出書房新社『一夏』(藤の曇天)より 拒食症とつながりを持たない人にこれがどれだけ賢明なあり方か、この一首で、米川千嘉子に絶大な敬意を捧 米川千嘉子「いかなる傷も吾になし」言葉の裏にある自己批判

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