おすすめの歌集

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人生はいいもんだ

どの歌集も何度も読み返しました。どの歌集も、この人生を、残された時間を呪わないでいいことを教わります。その歌集の歌人に、その歌人の人生に、わたしは、都度、膝を屈して敬いました。

小暮政次『青條集』鮮やかなるくれなゐは新しき道のはじまり

なんとも人間らしい一場面 怒りたる電話かけつつありしとき地震(なゐ)の過ぎしは吾知らざりき(小暮政次) 短歌新聞社小暮政次『青條集』「新しき丘」より 温厚な人でも稀にこんな姿を見せることはある。言わねば胎ふくるる、という 小暮政次『青條集』鮮やかなるくれなゐは新しき道のはじまり

大野誠夫『羈鳥歌』短歌では求道と耽美が両立することを知る

脅やかされて 黒砂にものうき歩みかへすとき脅(おび)やかされて生きのびゆかむ(大野誠夫) 短歌新聞社大野誠夫『羈鳥歌』「胡桃の枝の下」より そういうことを詠んだ歌ではないが、「歩みかへす」のであれば、この人生の先を、無思 大野誠夫『羈鳥歌』短歌では求道と耽美が両立することを知る

加藤克巳『玄青』人間にはかなしみの手さえふる力があること

加藤克巳の韻律 酔ひみだれ一人は暗き海にくだる弱小なり人間の後(うしろ)かげ(加藤克巳) 短歌新聞社加藤克巳『玄青』「エスプリの花」抄(灰色の空)より 加藤克巳の韻律は独特である、との趣旨の評を、加藤克巳を調べていると、 加藤克巳『玄青』人間にはかなしみの手さえふる力があること

花山周子『風とマルス』あまりのおもしろさに別記事にした歌

この弟をいっぺんで好きになる 弟はわれの手相をしげしげと見しのち低く物言わんとす(花山周子) 青磁社『風とマルス』(耳)より 姉の手相に何かを見た。手相見なのかどうかは知らないが、弟に、そのおぼえが、多少はあるのだろう。 花山周子『風とマルス』あまりのおもしろさに別記事にした歌

国分良子『ぴいかんの空』子のない夫婦が持ち合うジョーカー

夫婦ふたりでも 眠りいるきみのメガネを外したりきみにもきっと不安はあるらん(国分良子) 本阿弥書店『ぴいかんの空』(鳥海山)より 「メガネを外」す、その手の皎潔なるが、まことに美しい一首だ。 そして、次の一首で、わたくし 国分良子『ぴいかんの空』子のない夫婦が持ち合うジョーカー

田口綾子『かざぐるま』このままではいられない青春の美しさ

独立心 洗はずに持ち帰る服ちちははの晩年に食ひこみすぎぬやう(田口綾子) 短歌研究社『かざぐるま』(ただいま)より この判断の、いかにも聡明なあり方が、わたしを、『かざぐるま』の<わたし>から目を離せなくする。&nbsp 田口綾子『かざぐるま』このままではいられない青春の美しさ

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