おすすめの歌集

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人生はいいもんだ

どの歌集も何度も読み返しました。どの歌集も、この人生を、残された時間を呪わないでいいことを教わります。その歌集の歌人に、その歌人の人生に、わたしは、都度、膝を屈して敬いました。

古谷円『ひきあけを渡る』時間という絶対的な体系は愛を継ぐ

衝突なき外界 人間は環境になじんでこの人生を送る。しかし、なじむ程度でない人もいるらしい。 歌集『ひきあけを渡る』の著者・古谷円は、たとえばそのようなお人に思えるのである。あたかも身を巡る自然界と一体化しているのではない 古谷円『ひきあけを渡る』時間という絶対的な体系は愛を継ぐ

阪森郁代『ノートルダム』俯仰天地に愧じざるの姿をみつける

端的に カーテンを開けて始まる一日の端的にここより一羽飛び立つ(阪森郁代) 短歌研究社『ノートルダム』(奇妙な家)より 「一羽」とは、<わたし>のこと、つまり著者のことであろうかと。そして、「端的に」との措辞。「端的に」 阪森郁代『ノートルダム』俯仰天地に愧じざるの姿をみつける

玉井まり衣『しろのせいぶつ』美しいが悲しい変奏曲のネジが

きみんちのネジ 真昼間にふたり棚前しゃがみこみ密やかに選ぶきみんちのネジ(玉井まり衣) ながらみ書房『しろのせいぶつ』(Ⅱ Rちゃんへ)より 『しろのせいぶつ』のⅡは現代仮名遣いです 童話のようにいっしょにいるふたりなの 玉井まり衣『しろのせいぶつ』美しいが悲しい変奏曲のネジが

吉野鉦二『時間空間』そうか永遠に眠るのはまだ先だったのだ

微妙な年齢だった60という歳 老いというほどの老いではないが、もはや完全に若いと言えなくなったことを痛感している。先の7月、わたしは、還暦を迎えた。で、この60なる年齢であるが、最近、何とも微妙な年齢だと思うことが少なく 吉野鉦二『時間空間』そうか永遠に眠るのはまだ先だったのだ

短歌でそれはなぜ「ひかる」/鈴木美紀子『金魚を逃がす』

ひかる/夜空に どうしてもわたしの指のとどかない背中の留め金 夜空にひかる(鈴木美紀子) コールサック社『金魚を逃がす』(何番目の月)より 留め金を留めてくれる人は、ご自宅にいなかったらしい。その留め金ははずれたままの背 短歌でそれはなぜ「ひかる」/鈴木美紀子『金魚を逃がす』

柳原恵津子『水張田の季節』新鮮な感度を失わない人生がある

サンダルとウインナー 生きているだけでふたたび夏は来て抜け殻に似た棚のサンダル(柳原恵津子) 左右社『水張田の季節』(花に額ずく)より 「生きているだけで」と。微量の焦燥がうかがえる。<わたし>は、その「生きている」こと 柳原恵津子『水張田の季節』新鮮な感度を失わない人生がある

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