原田彩加『黄色いボート』短歌に人間が再起する美質を収める

いい歌人/いい歌集 博識な哲学よりかえって雑念が片付くことがある。 この書肆侃侃房(新鋭短歌シリーズ)『黄色いボート』には、都市生活を送る若い女性がいる。恋人がいた。時に孤独である。が、この女性には、自然豊かな故郷があっ … 原田彩加『黄色いボート』短歌に人間が再起する美質を収める

いい歌人/いい歌集 博識な哲学よりかえって雑念が片付くことがある。 この書肆侃侃房(新鋭短歌シリーズ)『黄色いボート』には、都市生活を送る若い女性がいる。恋人がいた。時に孤独である。が、この女性には、自然豊かな故郷があっ … 原田彩加『黄色いボート』短歌に人間が再起する美質を収める

自分はすでに短歌に収まっているのか かへり路の旅の終りのひとときを眠りをはりて地図をたたみぬ(長沢美津) 新星書房『車』(帰路)より 昏迷な埃の世界へ戻る境目の、完璧な抒情詩を、わたしは、この一首に得た気がした。 珍しく … 長沢美津「地図をたたみぬ」短歌の定型に元々自分はいること

短歌で他人と紙一枚の差がある人間を映す 花の名を知らざるままにたのしむは礼を欠くかと図鑑にさぐる(橋本喜典) 本阿弥書店『歌壇』2016.2月号「どこからでも来い」より その花の名前を憶えてあげなくては、と思ったのである … 橋本喜典「礼を欠くかと」平凡な言葉で人の日常が剥がされる

歌人がこれまで歩んできた道 この国の自然主義文学に、わたしは、いつからか否定的になった。若い時分はよく読んだのである。が、日々の仕事に追われる過程で、わたしに、その魅力は失せた。 無数の人影がゆらゆらとわたしの人生を染め … 安藤あきよ『灯台の灯』病苦に束縛されてなおのびやかな生命

その上空でリラックスして短歌が感知される 円を描きまつたき円の生(あ)れざるをたのしむ円の無限のかたち(坪野哲久) タイガー・プロ『碧巖』(律五章(落首))より なかなかまんまるに描けない。一つとして同じ円がない。たのし … 坪野哲久「円の無限のかたち」たのしんだから言葉は生まれた

短歌にそれをどう階層化するかがたいせつらしい 身を捨つることなどつひにあらざらむ終の棲家の仙人掌の花(武藤雅治) 六花書林『鶫』(こんなところに)より 一生をここで暮らす家に仙人掌。そこに咲く花。なるほど。「仙人掌の花」 … 武藤雅治「仙人掌の花」一首内に階層というものがあるらしい