式守 操

原田彩加「しあわせな一日だった」楽しくなれる短歌でござる

しあわせな短歌における出色の一首 しあわせな一日だったなみなみとしているものをこぼさず帰る(原田彩加) 書肆侃侃房(新鋭短歌シリーズ)『黄色いボート』(とおい心音)より きょうはいい一日だったなあ、なんて短歌がある。その 原田彩加「しあわせな一日だった」楽しくなれる短歌でござる

鈴木美紀子「トィンクル」短歌なんてやめておけばよかったか

まずこの短歌を トィンクル、トィンクル、って星空にアフレコしていたお通夜の帰り(鈴木美紀子) KADOKAWA『短歌ください(双子でも片方は泣く夜もあ篇)』テーマ・きらきらより この一首は、コールサック社『金魚を逃がす』 鈴木美紀子「トィンクル」短歌なんてやめておけばよかったか

野口あや子『かなしき玩具譚』「もう見捨てられたくなくて」

炎のようなめまい もう見捨てられたくなくて「連作が書きたい」などと泣いてみるなり(風呂敷) 友達に励まされてはないているじぶんひとりじゃいきていけない(おしゃれキャット) 炎のようなめまいを覚える。 いずれも、野口あや子 野口あや子『かなしき玩具譚』「もう見捨てられたくなくて」

沖ななも「財布おまえもか」財布は毒婦のように去ることなく

短歌は日常に厚みを持たせる 去るものは追わずさりとてボールペン ケータイ 眼鏡 財布おまえもか(沖ななも) 北冬舎『白湯』(何事もなき)より この一首は、わたくし式守に、沖ななもの最高傑作ではない。また、いわゆる秀歌タイ 沖ななも「財布おまえもか」財布は毒婦のように去ることなく

坪野哲久「菜のはなを挿してくれけり」消滅してなお永遠の美

短歌は安易なところに美を生まない 菜のはなを挿してくれけり如月のさむきゆふべのまなかひ明る(坪野哲久) 邑書林『留花門』(靑圃)より わたくし式守はただ、この一首の、余すところのない凛冽の気に搏たれて、坪野哲久の「まなか 坪野哲久「菜のはなを挿してくれけり」消滅してなお永遠の美

高松秀明「死にとなりしてすわる」短歌は祈りのための発明品

その短歌の<わたし>を時を超えて愛しむ 新しき世紀ちかづく一日を死にとなりしてすわる礎石に(高松秀明) 角川書店『五十鈴響(いすずなり)』(一  滋賀山寺・近江の宮居)より 淡々とした調べである。が、一読して読み捨てられ 高松秀明「死にとなりしてすわる」短歌は祈りのための発明品