式守 操

井川京子の短歌より/職業詠の魅力/その仕事は価値がある

ただ髪を切るのではない 「雨ですねエ」のひと声ののちほぐれゆくひとの心をしばしあずかる(井川京子) 第28回(1982年)角川短歌賞「こころの壺」より 言われてみれば、であった。 井川京子の連作「こころの壺」を順に読むと 井川京子の短歌より/職業詠の魅力/その仕事は価値がある

時田則雄「しらゆきひめになるといふ」嘘が永遠に勝利する耳

何から何まで魅力的 雪を食へばしらゆきひめになるといふわが嘘を聞く耳やはらかし(時田則雄) 第26回(1980年)角川短歌賞「一片の雲」より 何から何まで魅力的な歌である。 わたくし式守は、この一首のどこがどう魅力だった 時田則雄「しらゆきひめになるといふ」嘘が永遠に勝利する耳

中川佐和子「そういえば」難しいことを難しくなく読めること

わかりやすい歌なのであるが そういえば愉しいときは在ることに気付かなかったメリーゴーランド(中川佐和子) KADOKAWA『現代短歌アンソロジー』平成二十七年下巻(人)より わたくし式守の、これも、大好きな一首である。 中川佐和子「そういえば」難しいことを難しくなく読めること

渡辺松男「ここにゐてここにもゐない」自分の身を抱きしめる

ここにもゐない実感 ここにゐてここにもゐない実感にたつたひとつの雲浮きてをり(渡辺松男) 本阿弥書店『歌壇』2017.9月号「赤鴉」より 初読で、まず、「ここにゐてここにもゐない」という実感があることに、あれっ、となった 渡辺松男「ここにゐてここにもゐない」自分の身を抱きしめる

田宮朋子「機嫌よく生きませうね」姉妹の支え合う清らかさよ

機嫌よく生きませうね 「機嫌よく生きませうね」といふ姉の言葉は春の陽のやはらかさ(田宮朋子) 柊書房『星の供花』(夜の秒針)より こういう人はいい。ぜったいにいい。また、こういう声は、言われなくてもわかってる、とはならな 田宮朋子「機嫌よく生きませうね」姉妹の支え合う清らかさよ

竹山広「老いてこそ人生」なのか/清浄孤寂な風格にしびれる

異界のやうに明るい本屋 『老いてこそ人生』といふ本を積み異界のやうに明るい本屋(竹山広) 柊書房『遐年』(彼岸花)より <わたし>は、ご自分が、この『老いてこそ人生』なる人生とは思えないでいるのか。『老いてこそ人生』を覆 竹山広「老いてこそ人生」なのか/清浄孤寂な風格にしびれる