
『短歌往来』2026年3月号の今月の新人をおもしろく読む。
中川結さんの紹介。連作「星合に」掲載。
大阪芸術大学 文芸学科4回生
連作に添えた
プロフィールより
連作「星合に」より二首引く。
……「星合」
1年に1度、陰暦7月7日、牽牛と織姫の2つの星が、天の川を渡って逢瀬を遂げる
1年に1度、陰暦7月7日、牽牛と織姫の2つの星が、天の川を渡って逢瀬を遂げる
月光が落とした影がひとつなら流星群に声をたくそう(中川結)
七夕に星を降らした仕上げには酒の香りと笑顔ください(同)
月光が落とした影がひとつなら流星群に声をたくそう
まずは月光に「声」をたくした。しかし月は一つなのである。
と、読めたが。
流星群ならチャンスはいっぱいある。
好きな人のことだろうか。連作を通して読めばそうなるか。モチーフでそうとも読める。
あるいは、未来への夢や希望とか、要は立志的な情熱とか。
いずれにしても若い人がこのような気持ちをこのように詠むことで既にして読んでいて気持ちがいい。そして、この歌の調べによるムード。これがまた、筆者の好むところのものである。作者・中川結さんに何の虚飾も見えない。
いい歌を読ませてもらった。
七夕に星を降らした仕上げには酒の香りと笑顔ください
これは好きな人への気持ちと読む以外に余地はないか。
<わたし>は、「七夕に星を降らし」てくれただけでもう満足なのであろう。が、「酒の香りと笑顔」も、と。そのように読めた。そして、これもまた読んでいて気持ちがいい。
しかし、欲張ってしまうのである。わかる。よくわかる。そこに「酒」を望むこともわかる。「笑顔」はぜったいに欠かせない。
となると、「仕上げには」がいかに秀逸か。
憂いのない歌か。
いや、そうではない。
そうではない、と思うのである。酒はともかくとして、まだ笑顔を獲得していない。不安があるようだ。
どうぞ恋が実りますように。
式守操
