竹山広

コラム

短歌の前に/原罪とイエスをめぐる天才二人パウロとニーチェ

短歌において、最近、筆者は、新約聖書を下敷きにしたものに傾斜するところがある。難病に遭って、余命が突き付けられてみると、こうもなるらしい。が、正式なキリスト教徒ではない。ないが、少しは(少しであるが)積極的に勉強してもいて、今回は、そのあた...
コラム

短歌における神との対話/「いきいきと」/竹山広の短歌より

1こんな一首がある。切支丹ですと憚らず言ひ得べくなりて信仰のいきいきとせず(竹山広)柊書房『遐年』(彼岸花)よりこの一首、わかるような気がするのである。わたしはキリスト教徒ではない。が、僭越であることを承知で、そういうことはあるかも、と。2...
おすすめの一首

竹山広「老いてこそ人生」なのか/清浄孤寂な風格にしびれる

異界のやうに明るい本屋『老いてこそ人生』といふ本を積み異界のやうに明るい本屋(竹山広)柊書房『遐年』(彼岸花)より<わたし>は、ご自分が、この『老いてこそ人生』なる人生とは思えないでいるのか。『老いてこそ人生』を覆う光がこんなに明るい。逆に...
おすすめの一首

竹山広「がんばつて食ふ」健全と不健全が美しくせめぎあう歌

短歌に健全と不健全が境を極めている 三十五度の厨にて妻が作りたる一皿一皿がんばつて食ふ(竹山広)柊書房『遐年』(夏日日)よりどこにもそうと書かれていないが、<わたし>は、あまり食べられないのだろう。それに、かなり暑そうだ。でも、その暑い中を...
おすすめの一首

糸川雅子「石けりの石わが影のなかを」ありのままのすがたを

ころがる石を詩として拾う夕暮れに子らが蹴りたる石けりの石わが影のなかをころがる(糸川雅子)砂子屋書房『糸川雅子歌集』/『水蛍』(日記)よりたとえば、歩道を歩いていて、誰かが足でちょっとどかした空き缶がころがる音がきこえる。すると、空き缶がわ...
おすすめの一首

竹山広「机にしんと人はをりたり」すでに完成しているのかも

短歌の神秘性と交感する「夕焼け」といふ古書店の奥ふかき机にしんと人はをりたり(竹山広)柊書房『遐年』(夏至前後)よりブックオフにいると「いらっしゃませ」の谺がある。ブックオフが舞台で「人はをりたり」としても、詩にはならない。この「夕焼け」で...
おすすめの一首

竹山広「にんげんも危険ですね」おもしろい話を詩にできる

短歌には音楽性が必須らしいにんげんも危険ですねといま妻が電話に語りゐるのは誰か(竹山広)柊書房『遐年』(ああ極楽)よりおもしろい……。「危険」て何よ。「誰」よ。「にんげんも」の「も」も何だかおかしい。そして、このリズム……。愛すべきご夫婦世...