阪森郁代

コラム

短歌で国家の心臓部を表現する/日本銀行/阪森郁代さんより

1どちらへゆくも気の向くままを良しとして日本銀行目の前にある(阪森郁代)ながらみ書房『短歌往来』2026年5月号「自然詠を詠む・撮る・描く(大阪市北区)」(流れゆくのみ)より2筆者(わたくし式守)は、東京日本橋の日本銀行本店のすぐ近くで勤務...
モチベーション

短歌で読者を目撃者にする/カメラワーク/阪森郁代さんより

単なる公園の説明ではないまつすぐに伸びて縦横シンメトリーこの公園は薔薇の領域(阪森郁代)ながらみ書房『短歌往来』2026年5月号「自然詠を詠む・撮る・描く(大阪市北区)」(流れゆくのみ)より大阪市北区で、バラ園があって、シンメトリーな配置で...
コラム

短歌の前に/原罪とイエスをめぐる天才二人パウロとニーチェ

短歌において、最近、筆者は、新約聖書を下敷きにしたものに傾斜するところがある。難病に遭って、余命が突き付けられてみると、こうもなるらしい。が、正式なキリスト教徒ではない。ないが、少しは(少しであるが)積極的に勉強してもいて、今回は、そのあた...
おすすめの一首

阪森郁代「風がもたらす」人間を超えた存在からの美しい応答

不意の讃美歌掌(てのひら)の窪みに手帖ひらくとき風がもたらす不意の讃美歌(阪森郁代)短歌研究社『ノートルダム』(たしか八月)より主にプロテスタントでは「讃美歌」。カトリックでは「聖歌」と呼ばれる。ここでは「讃美歌」。内容が詠まれた通りそのま...
おすすめの一首

阪森郁代「実在は非在の片割れ」答えのない祈りを捧げること

記録=実在実在は非在の片割れマグダラのマリアはいくつまでを生きしや(阪森郁代)短歌研究社『ノートルダム』(奇妙な家)よりマグダラのマリアは、聖書の中で、イエスと行動を共にした婦人たちの一人として、このように登場している。悪霊を追い出して病気...
おすすめの歌集

阪森郁代『ノートルダム』俯仰天地に愧じざるの姿をみつける

端的にカーテンを開けて始まる一日の端的にここより一羽飛び立つ(阪森郁代)短歌研究社『ノートルダム』(奇妙な家)より「一羽」とは、<わたし>のこと、つまり著者のことであろうかと。そして、「端的に」との措辞。「端的に」とは、文脈によってニュアン...
おすすめの歌集

阪森郁代『ナイルブルー』生きるも死ぬも水の力がそこにある

なぜ自己否定を必要とするみづからを否定したくて否定するこの明るさの中なる二月(阪森郁代)角川書店『ナイルブルー』(蜜にもならむ)よりわざわざ否定することもない現在に、ここで、否定すべきところを探してみたのか。否定しようと思えば否定できるとこ...
おすすめの一首

阪森郁代「あいまいに時を過ごした」それがわが半生だったら

誰にでもあるあいまいな時間あいまいに時を過ごしたその理由(わけ)をまたあいまいに考へてゐる(阪森郁代)角川書店『ナイルブルー』(木星の小火)より自堕落な日々を過ごしてしまいました、なんて歌ではないだろう。惰性に任せて無意味な時間を過ごしてし...
おすすめの一首

阪森郁代「流動体のやさしさ」その気になればこう生きられる

「轟音」と「はかなごと」轟音に列車は過ぎてその後にはかなごとなど言ひ出す人も(阪森郁代)本阿弥書店『歌壇』2017.4月号「夜のさざなみ」よりなぜ「その後に」なのか。「轟音」があっては話が聞こえまいと、話が、いったん中断されたからである。で...
コラム

阪森郁代の短歌/司馬遼太郎を経て圧倒的な<ひとり>を知る

1作者とオーバーラップする物語がある。たとえば親にこんな目に遭っていますとか。たとえば誰ともフツーのおつきあいができませんとか。いっぱいいるって、そんなの。読んでいたけど。30近くになると、そのような小説を、まったく読めなくなってしまった。...
モチベーション

阪森郁代「朝の無人の部屋」おれには短歌なんて作れないのか

外界と内界三面に殺(さつ)の文字の散らばるを見たり朝の無人の部屋に(阪森郁代)角川書店『ナイルブルー』(十月の扉)より稀ならぬはむしろ「殺」にして、「朝の無人の部屋」こそ、人々の遠くにあるものに錯覚してしまいそうだ。<わたし>は、たった今、...
おすすめの一首

阪森郁代「たとへば墓所へ」はるかなる歩みが止まらない短歌

ただの日常に能動的である短歌デザインを見比べてをりこの服はたとへば墓所へ行くときに着る(阪森郁代)KADOKAWA『短歌』2016.2月号「届かぬ位置に」よりその一首が、日常の断面に過ぎないのに、日常が軸に見えないことがある。<わたし>に、...