沖ななも

おすすめの一首

沖ななも「男がやおら」この世界は多くの人間たちがいること

もちろん立派な仕事です電柱に向かいてしばらく立ちていし男がやおら登りはじめぬ(沖ななも)北冬舎『白湯』(身の嵩)より沖ななもの歌はいつもおもしろい。この一首もおもしろい。が、この一首は、おもしろい先に感動を覚えてしまったのである。電柱に登る...
おすすめの一首

沖ななも「財布おまえもか」財布は毒婦のように去ることなく

短歌は日常に厚みを持たせる去るものは追わずさりとてボールペン ケータイ 眼鏡 財布おまえもか(沖ななも)北冬舎『白湯』(何事もなき)よりこの一首は、わたくし式守に、沖ななもの最高傑作ではない。また、いわゆる秀歌タイプでもない。が、本来であれ...
おすすめの一首

橋本喜典「この日の三度目を」結句をいかに魅力的にするか

迷惑電話に腹が立っただけの話なのに勧誘の電話この日の三度目を下ろしてひとり怒りつぶやく(橋本喜典)本阿弥書店『歌壇』2017.2月号「天地」より迷惑電話が腹立たしい。要は、そういう内容だ。それだけだ、とも言える。それだけを、短歌で、おもしろ...
おすすめの歌集

沖ななも『ふたりごころ』人生がつまらなく見えないのである

人生はいいもんだ恐るべき致死率のウイルスで世界の主要都市が壊滅してしまう映画があった。『復活の日』である。日本映画史においてさして高い評価を得ていないが、高校生になったばかりのわたしは、それはもう何度も映画館に足を運んだ。40年後の今日、わ...
おすすめの一首

沖ななも「またも財布を」神に財布で試されているかのように

言い訳がましい言い方なのにわが首は縦に振るほうがたやすくてまたも財布を開けてしまえり(沖ななも)北冬舎『白湯』(ひとびと)より沖ななもの歌が好きである。のびのびとした作風に何か大きな量感と魅力を覚えられるからである。この一首もそうだ。カッタ...