古谷円『百の手』人間が世界に隠している苦悩にさしのべる手

現実がぶつけてくる風や波 しっかりせよ厳(いつく)しき声響かせる大き月ありわがふところに(古谷円) 本阿弥書店『百の手』(新成人)より 『百の手』の〈わたし〉は、このようなお人である。ただ狼狽に時を移すことを、ご自分に許 … 古谷円『百の手』人間が世界に隠している苦悩にさしのべる手
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現実がぶつけてくる風や波 しっかりせよ厳(いつく)しき声響かせる大き月ありわがふところに(古谷円) 本阿弥書店『百の手』(新成人)より 『百の手』の〈わたし〉は、このようなお人である。ただ狼狽に時を移すことを、ご自分に許 … 古谷円『百の手』人間が世界に隠している苦悩にさしのべる手
大根とセットの主婦のかっこよさ 大根を抜きて揺らして帰るとき息苦しかった昨日忘れる(古谷円) 本阿弥書店『百の手』(簡単な人)より どこをどう読んでも主婦であろう。主婦である、との直截な情報は、どこにもないが。 初句にた … 古谷円「大根を抜きて揺らして」大根というハードボイルド
その短歌の<わたし>を時を超えて愛しむ 新しき世紀ちかづく一日を死にとなりしてすわる礎石に(高松秀明) 角川書店『五十鈴響(いすずなり)』(一 滋賀山寺・近江の宮居)より 淡々とした調べである。が、一読して読み捨てられ … 高松秀明「死にとなりしてすわる」短歌は祈りのための発明品
作れないが読める 電脳とつながるものを捨ておきて海遠(うみとお)光る岡畑歩く(古谷円) KADOKAWA『短歌』2020.8月号「夕日を見る人」より いい歌だなあ。好きだなあ、古谷円って。 それは正しい読みなのか、とか何 … 古谷円「電脳とつながるもの」電脳と対極の場はではいずこに
短歌に世界が働きかけてくれるものが うすやみに丸椅子置かれ傷みたるミカンのようなわたしをのせる(古谷円) KADOKAWA『短歌』2018.8月号(スペイン語圏)より 要は、「丸椅子」にすわった、というそれだけの話なので … 古谷円「うすやみに丸椅子置かれ」まだ生きている価値がある