花山周子

コラム

短歌における肉体と精神/奈落の口が/花山周子の短歌より

1夜の風のぼおーぼおーっと吹く夜の腹筋を百回すれば開く奈落の口が(花山周子)小さな娘抱き上げるときの感触が腕に兆せり路地を曲がりて(同)いずれもながらみ書房『短歌往来』2026年6月号「動脈」より2まずこちらの一首を。夜の風のぼおーぼおーっ...
おすすめの一首

花山周子「もちろんだとも薔薇の如くに」大好きなわが子よ

好き?お母さんあきちゃんのこと好き?と聞くもちろんだとも薔薇の如くに(花山周子)『短歌』(2016年)1月号本阿弥書店『歌壇』2016.12月号<2016年を象徴する百首>上村典子選今年の十首より子どもはこんなことを母親に確かめてみるものだ...
おすすめの歌集

花山周子『風とマルス』あまりのおもしろさに別記事にした歌

この弟をいっぺんで好きになる弟はわれの手相をしげしげと見しのち低く物言わんとす(花山周子)青磁社『風とマルス』(耳)より姉の手相に何かを見た。手相見なのかどうかは知らないが、弟に、そのおぼえが、多少はあるのだろう。吉凶禍福の凶と禍が<わたし...
おすすめの一首

花山周子「障子越しに霞ケ浦」芸術家は瞬間移動ができるのか

時の文化整理に耐えた障子越しに霞ケ浦があるという夜の座敷に鰻丼を食べる(花山周子)青磁社『風とマルス』(霞ケ浦)より霞ヶ浦の実景を目にしてはいないのである。霞ヶ浦は、あくまで「障子越し」にある。されど、霞ヶ浦の存在感は、あまりに大きい。 霞...
おすすめの歌集

花山周子『風とマルス』偉大な芸術家は社会の扉の鍵を持てる

うさぎと暮らす芸術家ぎっしりと雨降る窓に畳まれた時間だわれは正座している(花山周子)青磁社『風とマルス』(正座)よりこの先に計り知れない物語が待っている幕開けのようだ。「正座している」この「われ」の姿は、この歌集の全体を支え得ている。ほんと...
おすすめの歌集

鳥居『キリンの子』鳥居歌集/母ある天は永遠にこの子を守る

悲運の流れに任されて若い花々が、悲運の流れに任される。『キリンの子』鳥居歌集である。よく売れた。 話題の鳥居歌集『キリンの子』について。その生い立ちの壮絶さを先に情報として得ていた私は、少し身構えていたのだが、(中略) 私はこの歌集から外枠...