
目 次
思い出を素直に短歌にしようと
給食をガキ大将に多く盛る弟分の手指は小ちゃく(式守操)
栗木京子・選:題詠「給食」より
NHK短歌(短歌de胸キュン)の佳作で、一首採っていただきました。
非才を嘆いて投稿を続けているところに、わたくし式守の名で自作が掲載されたことは、大きく構えるようですが、この人生に、なによりの褒美になりました。
むかしガキ大将ありけり
虚弱児だったが、いじめなどに遭わないでいられた。
わたしあたりをいたぶるのはもういじめの領域ではなくなるほどのからだのサイズだったからか。
それもあろう。
が、わたしはむしろ守られていたのである。
ガキ大将に、である。
今でも「ガキ大将」なんて語彙が生きているのかどうか知らないが、わたしは、ガキ大将指数の高い子が中学でも高校でも好きだったし、いい大人になった今もなつかしい。
映画的心情を短歌にしてみたい

Darling,darling
『Stand By Me』
Stand by me,oh stand by me
作詞:Ben E. King,Jerry Leiber,Mike Stoller
1 給食におけるガキ大将を
2 弟分の<わたし>を
3 「スタンドバイミー」に
初稿:
給食を多めに盛るは当然のガキ大将の弟分は
推敲:
給食を多めに盛るを当然にガキ大将の弟分は
検証要
「当然」の、これは、ちょっと違うかな、と
わたしは、それを、たしかに当然としていた。
しかし、脅されてそうしていたわけではなかった。ましてや大人の世界の贈賄ではない。
これでは「スタンドバイミー」じゃないな、と
あんたはからだが大きいんだから足りなかろう。
ぼくのぶんもあげるね、って。ほら、って。
そうしてあげたい心情が、あの時代に、あの関係の中で、わたしにたしかにあったのである。
「当然」では決定的に間違っていようか
完成へ
(完成)
給食をガキ大将に多く盛る弟分の手指は小ちゃく
1 「当然」を捨てる
「当然」なる語彙を不要としたことで空いたスペースを、<わたし>の指がいかに短いか、そこを突いておこう。「小さい」ではなくて「小ちゃい」なんてニュアンスもおさえておきたい。
2 語順を入れ替える
「小ちゃい」なる語彙を効果的に措きたい。
リズムをこわさないように。
3 よく読み直してみる
最終的な検証として読み直してみた。
完成形の方が、むしろ読みやすいリズムではなかろうか。
そして仲間へ
・捨てていい語彙は捨てる
・捨てたことでゆとりのできたところにもっとイメージがふくらむ語彙を
給食=ガキ大将+弟分のおれ
そう、これだけである。
以上。
短歌を投稿していて、もうあきらめかけている人の参考になれば幸いです。
いっしょにいい作品を世に出せるようにがんばりましょうね。
