
目 次
何の「春の草」でいくべきか
地下鉄をはりめぐらせた人類の代表としてドクダミを抜く(式守操)
吉川宏志・選
題詠「春の草」より
NHK短歌佳作に一首、採っていただきました。
「春の草」が題である、と。
途方に暮れた。
わたしは、短歌なんてものをしているのに、草花の名をほとんど知らないのである。どうでもいい個人情報で恥の上塗りをすれば、花屋でアルバイトをしていた経験があるが、なのにほとんど知らないのである。
ただ
わたくし式守は、仕事が、マンションの清掃作業員である。
ドクダミを除去することにはなはだしく難儀している。あの抜き去り難い根は、進化の過程で、どれだけ意味があるのだろう、と。
あ、これなんかを歌にしては?
でも、ドクダミって「春の草」?
花期は初夏から夏(5–8月)
『ウィキペディア(Wikipedia)』
「ドクダミ」より
初夏だってよ、初夏
されど
春になるともうドクダミを除去することにはなはだしく難儀する例年なのである。
ならばよいか。

進撃の巨人にも似て
『進撃の巨人』なる漫画作品がある。
こんな説明がなされるようだ。
圧倒的な力を持つ巨人とそれに抗う人間たちとの戦いを描いたダーク・ファンタジー漫画。
『ウィキペディア(Wikipedia)』
「進撃の巨人」
(概要)より
現場にもよるだろうが、ある程度の敷地があるマンションで働く者に、ドクダミは、圧倒的な力を持っていて、マンション清掃作業員は、ドクダミに抗う戦いを強いられるのである。
マジですよ、マジ
とっかかりにこんな下作業を

1 とっかかりとして
(草稿)
陽の下に拾う名誉はなかりしも抜き去り難く抜くドクダミよ
人生のこれも仕事とドクダミを抜きにかかるも力は果てて
こんな類をいくつか書き出してみた。
これが完成ではない。
とっかかり。とっかかり。
2 草稿を要約する
ドクダミが憎い
3 表現段階へ
このあたりで本格的にどう作歌するか、へと。
言っていることは、上の2の趣旨とまったく同じであるが、そこに、短歌的な抒情をどう生み出したらいいか、それは表現次第、というわけである。
まだ表現とは言えないような
(草稿)
陽の下に拾う名誉はなかりしも抜き去り難く抜くドクダミよ
人生のこれも仕事とドクダミを抜きにかかるも力は果てて
何を言いたいかわからないでもない。
が、これではただの愚痴であろう。
愚痴でしかない筈のものがおもしろい短歌になっているのであれば、その愚痴の短歌も、愛誦すべき短歌になるであろうが、そんな高度な技はわたしにはないのである。
もっとねばりたい。
ねばるしかない。
人間の誇りを
人間がドクダミに負けていいのか
おおげさなようだけど
あ、これよ
おおげさ、おおげさ
この傲慢って何よ
地中はわが世と根を張るドクダミよ
われわれ人類は地下鉄を張り巡らしている
完成させられるかも
完成へ
(完成)を(草稿)と並べて記載したい。
(草稿)
陽の下に拾う名誉はなかりしも抜き去り難く抜くドクダミよ
人生のこれも仕事とドクダミを抜きにかかるも力は果てて
(完成)
地下鉄をはりめぐらせた人類の代表としてドクダミを抜く
そして、仲間へ
・ただの愚痴ではダメ
・不可避のことに従うにどんな言葉を持ったか
・構造は単純で足りる
ドクダミを抜きました
そうそう、ただただそれだけのこと。
今回のレポートは以上です。
短歌を投稿していて、もうあきらめかけている人の参考になれば幸いです。
いっしょにいい作品を世に出せるようにがんばりましょうね。
