
目 次
何の「折」でいくべきか
口ひげをほめたぶんだけ折り合いのつかない人と折り合いがつく(式守操)
佐佐木定綱・選
題詠「折」より

NHK短歌佳作に一首、採っていただきました。
「折」と言えば、やはり単純に、折る、または、折れる、なんてことが頭に浮かびました。
骨折とか。
また、挫折するとか、折衷案とか、そのような「折」もあるかと。
「折」の、すなわち骨折の投稿もしましたが、もう一方の投稿の「折り合い(がつく、とかつかないとか)」を採っていただいた、ということです。
折り合いがつかない人っていますよね
折り合いがつかない人というのはどこにでもいるものだ。
それがまた、わたしとだけではなくて、誰とも折り合いがつかない、なんて人もいる。まとまる話もまとまらない。
だったらそんなの相手にしなければいい、とはいかない。
仕事です。
その人は、わたしに、そこまでの人ではなかった。また、けして嫌な奴でもなかった。
ただいかんせん仕事のスタイルが違う。
これがなかなか妥協点を見出せないものなのである。
身だしなみにうるさい勤め先ではなかったので、その人は、少し髭なんてはやしていた。わたしに、実は、髭をはやすことへの憧れがあった。が、妻から強硬に、やめておくれ、と。
で、その人に、ひょいと言ってみたのである。
「かっこいいよね、ヒゲ、いつも」
するとどうだろう。お互いに譲り合えるところを譲り合えたのでした。
とっかかりにこんな下作業を

1 とっかかりとして
(草稿)
口ひげがかっこいいよで折り合いがついてしまえる折り合いだった
こんな類をいくつか書き出してみた。
これが完成ではない。
とっかかり。とっかかり。
2 草稿を要約する
口ひげをちょっとほめたら歩み寄ってくれた人がいる。わたしも歩み寄った。
3 表現段階へ
このあたりで本格的にどう作歌するか、へと。
言っていることは、上の2の趣旨とまったく同じであるが、そこに、短歌的な抒情をどう生み出したらいいか、それは表現次第、というわけである。
まだ表現とは言えないような
(草稿)
口ひげがかっこいいよで折り合いがついてしまえる折り合いだった
何を言いたいかわからないでもない。
しかし……、
これではただの例示では
折り合いがついたのは、相手の口ひげをほめたから、ということだとして、折り合いがついた理由はこれこれこうでした、というだけになっていないか。
もっとねばりたい。
WHYではなくてHOWを
口ひげをほめてみたのよ
それがよかったみたいなのよ
う~ん、途中段階の感を拭えないなあ、これだと
すべてを折れてはいないのよ
ほめたぶんだけだったのよ
おお、なるほどね、それだ、それでいこう
残りの課題
そもそも相手はどんな人
<わたし>とどんな距離の人
完成へ
(完成)を(草稿)と並べて記載したい。
(草稿)
口ひげがかっこいいよで折り合いがついてしまえる折り合いだった
(完成)
口ひげをほめたぶんだけ折り合いのつかない人と折り合いがつく
そして、仲間へ
・なぜ✕✕だったかではなくどんな✕✕かを
・どんな✕✕にすれば登場人物のスケッチもできる
・構造は単純で足りる
折り合いがつかない人
→折り合いがつく
そうそう、ただただそれだけのこと。ちょっとほめただけで、という話。
今回のレポートは以上です。
短歌を投稿していて、もうあきらめかけている人の参考になれば幸いです。
いっしょにいい作品を世に出せるようにがんばりましょうね。
