NHK短歌佳作「重」これで表現したいとなる景色の出現を待つ

辛抱強く題材を待って

ストローがグラスのふちによりかかるほどの重さといかず夫婦は(式守操)

大森静佳・選
題詠「重」より

MHK短歌佳作に一首、採っていただきました。

重い?  重さ?
重力?  重量?
貴重品?

何をどう表現していいやら。いっそ題が「困」であってほしいくらいだった。

これで表現したい、となるまででもうずいぶん時間がかかった。

今回も、短歌を始めて、初の採用を目指している人の参考に、歌作過程のレポートを

折あらば「重」を考えていた

何かに挑戦してみるにおいて、何が困ると言って、そのことばかりに時間をかけてはいられないことである。

たとえば仕事があろう。

NHK短歌佳作「重」表現したいとなる景色の出現を待つ

プライベートだって個人の自由になる時間ばかりではない。

NHK短歌佳作「重」表現したいとなる景色の出現を待つ

だからそうそう短歌にばかり集中してもいられないわけだ。

それをぼんやり待つしかない。
「重」を感受することを、である。

いつか来る

「重」に集中したからとてそれは容易に来ない。
しかし、頭に常に「重」を置いておけば、いつかポコンとそれが来ることがある。

まぐれ頼みではないのだ

目の前のアイスレモンティー

NHK短歌佳作「重」表現したいとなる景色の出現を待つ

清掃作業員のわたくし式守は、セルフサービス式のコーヒーショップで、次の現場の時間を待つことがある。

「重」を頭に置いて、もう何日もたっていたが、それが、ポコンと浮かんだ。ついに来た。

アイスレモンティーのグラスにストローがさしてある。

これだ

グラスはなぜ倒れない。
物理学上の運動がある。

ところが、夫婦は、こうはいかないのである。
夫婦というグラスに、ストローという夫なり妻は、倒れることの絶対にない運動方程式などない。

グラスにストローを使おう

(草稿)

ストローがグラスのふちによりかかる重さであれば夫婦も楽だ

上句はいい。
これでゆく。

しかし、下句は、斡旋された語彙はこれでいいとしても、これでは歌人の芸などありはしまい調べではないか。

(決定)

ストローがグラスのふちによりかかるほどの重さといかず夫婦は

ふりかえって/そして、仲間へ

チェックリスト

・表現したいイメージの出現を待つ。

・そのイメージを短歌的な抑揚に乗せる。

・例によって構造は単純で足りる。

グラスとストローで想起した夫婦をそのまま使う

夫婦は楽だ、はやめておくが

短歌的な抑揚に乗せてみたいところであるが

これまで読んできた短歌の調べからどれかちょうだいしておくか

ストロー+グラス≠夫婦

そう、ただこれだけのことである。


以上。
短歌を投稿していて、もうあきらめかけている人の参考になれば幸いです。

いっしょにいい作品を世に出せるようにがんばりましょうね。

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